【嘆きの実態】「飛行マニュアルはおまけ」と勘違いする専門家たち。ドローン事業における安全運航体制の真の姿

最近、SNS上で、ある行政書士がドローンの飛行許可申請に関して以下のような発言をしており、我が目を疑った。

その発言を要約すると、概ね次のような内容である。 『飛行審査要領には、夜間飛行や目視外飛行について飛行マニュアルへの追加記載を義務付ける条文は見当たらない。それにもかかわらず、航空局は法的根拠のない追記(運航体制、飛行前点検、異常時の対応など)を求めてきており、審査官ごとに基準もブレている。これは明らかな役人のスタンドプレーであり、「役所ハラスメント」だ。無駄な時間と労力を使わされたため、国家賠償請求すら考えている』

ドローンの法務を扱う「専門家」であるはずの人間が、このような発言を公にしてしまうとは、まさに世も末である。 皆さんは、この発言を見てどう感じるだろうか?

この発言の根底にあるのは、「飛行マニュアル」というものを、許可・承認申請書を通過させるための単なるおまけの添付書類程度にしか認識していないという、決定的な誤認である。

 

「飛行マニュアル」は単なる書類ではない。安全運航体制の宣言である

私が以前から繰り返し伝えていることだが、ドローンの許可・承認を頂くにあたり、最も重要なことを見落としていないだろうか。 それは、ドローン事業者が自らの「安全運航体制」を国に対して宣言するための書類こそが、「飛行マニュアル」であるという事実だ。実際のところ、事業者の安全運航体制のほとんどすべてが、この飛行マニュアルの中に集約されていると言っても過言ではない。

航空局という第三者から見たとき、「申請内容」「飛行場所」、そして「飛行マニュアルの内容」に整合性がとれており、「この事業者なら十分に安全を担保できる体制が整っている」と判断されれば、すぐに許可は発行される。極めてシンプルで合理的な仕組みである。

 

「人間の審査」に対するリスペクトの欠如

もちろん、審査を担当する審査官によって、多少の基準のブレ(誤差)が発生することはある。しかし、それは致し方ないことである。 なぜなら、申請ごとに「飛行する場所」「飛行する方法」「飛行する日時」といった条件は千差万別だからだ。それを人間が一件一件、安全性と照らし合わせて審査している以上、完全に画一的な判断にはなり得ない。 むしろ、これをすべて機械的にシステムで弾いてしまったら、少しでもイレギュラーな事案はすべて「否認」となり、我々は全くドローンを飛ばせなくなってしまうだろう。

以前、航空局の方から直接、「我々もダメ出しを前提にしているわけではなく、安全を担保した上で、できるだけ飛行していただけるように審査しています」という言葉を頂いたことがある。彼らは決して、ドローン事業者の邪魔をするために存在しているわけではないのだ。

ドローンの法務を扱う人間が、飛行マニュアルの重みを理解せず、あまつさえ航空局や航空事業そのものに対するリスペクトを全く持っていないことは、非常に悲しむべき実態である。

ドローンを事業として空に飛ばす以上、我々は「航空」という厳しい安全基準の世界に足を踏み入れている。その自覚と体制づくりこそが、今一度問われているのではないだろうか。