【鳥獣害対策の最前線】環境省へ直談判。ドローンの「スクランブル追い払い」はもう古い。環境調査メインの自動航行がコストを劇的に下げる理由
先日、鳥獣害対策の本丸である環境省自然環境局野生生物課をご訪問し、弊社のドローンを活用した「クマ侵入防止境界線構築業務」の提案書をもとに説明を行ってきた。
これまで環境省に来ていたドローン事業者は、事案が発生した際に対応する「対処療法的なスクランブル型のクマ追い」ばかりだったという。そのため、環境調査をメインとした対策提案は聞いたことがなく、1飛行あたりのコストが跳ね上がることから「実務的な使用はコストに見合わない」という強いイメージを持たれていた。やはり、現場の受け止め方はそうだったのだ。
そこで弊社からは、これまでの「操縦者の技量任せの飛行」からの脱却を提示した。事前に運航計画書を厳密に作成し、その計画通りに自動航行を何時間も行わせる仕組みをご説明したのである。運航計画通りの確実な飛行を重ねることこそが、コストを劇的に下げる唯一の方法だからだ。
この提案に対しては、「どのような仕組みで動くのか?」「何人の体制で?」「何時間の飛行が可能なのか?」「精度はどの程度か?」など、大変強い興味を持っていただくことができた。単なる駆けつけ対応ではなく、環境調査とデータに基づく境界線の構築こそが、真に現場から求められているアプローチなのである。
今回の訪問を通じて痛感したのは、これまでのドローン活用モデルの限界である。単発の追い払いや操縦者の勘に頼る手法では、もはや社会実装が進まないことをドローン事業者側は早期に理解すべきだ。
また、国が国産ドローンの普及を進めたいのであれば、解決すべき大きな課題がある。中国製と同等レベルの精度で飛行可能な機体を、中国製の10分の1程度の金額で供給できる体制を整えることだ。性能面での信頼性と現場が導入できるコスト水準が両立しない限り、本当の意味での国産機の普及はあり得ない。
一人の操縦士の個人技量に頼る時代は終わりを迎えている。綿密な運航計画を用意し、何時間も計画通りに精度高く飛ばせる「自動航行とデータ管理の体制」を構築できる事業者だけが、行政や国の抱える課題を真に解決できるはずだ。業界全体がこの現実を直視し、運用モデルのアップデートを図るべき時に来ている。

